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アンラッキー・デイズ
『アンラッキーな日々はラッキーな日を創る大きな前ふりである』(J.B.キング)
DATE: 2011/10/30(日)   CATEGORY: 日記
『ネコ騙し辞典~よ:夜』
夜の闇に目をやると、奥の方から顔を出す。
フサフサしたものや、カラフルなもの。見た目は花にも見えるのだが、目や口も見える気がする。時折見えるそれらは、私に安心感を与える。
目を閉じても、瞼の裏に焼き付いている。そのため、いつまでも忘れる事ができないのだ。
一人暮らしを始めて早10年。田舎から出て来ても、それらはいつ何時も見る事ができた。

それらが見え出したのは小学校3~4年の頃だろうか。朝から体調が悪く、授業を休んで保健室で寝ていた。その日は早退をし、家に着くやいなや布団に入り込んだ。
両親が帰ってきても気がつかないほど、深い眠りに入っていたようで、闇の中で目を開けると、今が何時なのか皆目検討もつかない。
夕方なのか、夜なのか、深夜なのか、明くる日の朝なのか…。
世界に置いてけぼりにされたかのようで、幾分か不安を覚える。
あたりは黒い闇に包まれていた。尿意を覚え、便所に行こうと、むくりと起き、感覚で歩き出す。電気をつけなくても、勝手知ったる我が家、なんとなくは分かるのだ。既に体調が悪かったことすら忘れるぐらい、回復していたようだ。

この時、全く気にも止めてなかったが、たしかにあれは存在していて、無意識ながら、「あぁ、花が咲いてるなぁ」と認識があったのだ。

中学、高校と進むに連れ、私の見ていたものは、誰にも見る事が出来ないと知らされた。
知るばかりか、私が妄想を話す者として認識されそうになったため、たちまち、そんなことはないと強く否定をうった。

そうしなければ、私がオカシナ人になってしまいそうな気がしたのだ。


20歳を超え、闇に咲く花のような物を捕まえようと試みたことがある。闇の中に、すぐ現れるそれ。私は手を伸ばす。たが、それには感触がない。実態がない。

なんなんであろうかと、深く思慮し、目と口が機能しているのか気になった。さっそく、私は闇を作り、話しかける。
「やぁ、調子はどうだい?」
するとその花のような物は
「パァァァァ…」
と音を上げた。

「ぱあ? なにや?」
何度聞いても
「ふゎぁパァァァァ」
と繰り返すだけだった。

ぱぁだの、ふゎぁぱぁだの、何かしらは発するのだが、意味がわからない。

その時から、そいつと話すのをやめた。


あれから15年。今、私は闇にいる。
体調不良で、布団に篭る。まるで、何年も繰り返している光景だが、具合が悪い。

気がつくと、闇に咲く花がある。

あぁ。

久しぶりに思い出した。思い出したが、今はそれどころではない。こちとら風邪で喉をやられてんだ。お前を相手になんかしてらんないんだよ。と心の声で呟くと、その花が何かコトバを発したように思えた。

え?

なんて、言ったのだろう。
今度は、よーく、そいつを見る。なんて言ったのだ?と心で呟く。すると、

「かゎるょ……」

と喋っているではないか。かわるよ? どういう意味だろう? 私は必死になってしがみつこうとしたが、フワッと闇に消えて行くのみだった。

電気をつける。
あたりを見回し、一息つく。

嫌な汗をかいている。
かわるよ、か。できるものなら、代わってもらいたい。

そう、思うやいなや、自分の思考回路がギュンッ!!と真上に飛び出したかと思うと、未知なる空間言うなれば四次元の世界へ、渦を巻きながら入っていった。

記憶はそこで終わりです。
あなたに聞かせられるのもここまでです。
そう、あの時、私は代わりたいと一瞬頭のなかで考えたのです。

だから、僕が何者なのか、何故、闇に咲いている花の様な形で、目と口があるかは、未だにわかりません。

ただ一つ言えるのは、あなたは、今自分自身に嫌気がさしている。だから、私のコトバが聞き取れるのだろう。
何も考えて無い時は、ぱぁだのしか聞こえなかったでしょ?今は違う。
そして、代わりたいと願うならば、

「代わるよ?」

さ。

ほら。

もう。

大丈夫。

夜が来たよ。

闇へようこそ。


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